2009年6月4日

田舎暮らし・その3

 私が子供の頃、親から聞いた実話です。

 丹生谷(にゅうだに:今の那賀町ですが、どこかは聞いていません)に、私の親の親戚筋にあたる家族が住んでいたようです。

 当時は、生まれた村を出ることは滅多に無かったようですが、その一家の子供が父親に連れられて、生まれて初めて村を出て、今の阿南方面に出かけた時のことです。

 丹生谷から阿南方面に出るためには、今の阿瀬比町から山口町に抜ける峠を越える必要がありました。

 今では峠にトンネルが抜け、通ることもなくなった旧道を行くと、峠を越えて下り坂に入るあたりで、目の前が開けて那賀川河口の平野の一部が望めるポイントがあったようです。
(津乃峰神社から見下ろす橘湾周辺の風景をご想像いただくといいでしょう。)

 四方を囲む山の風景しか見たことのない子供にとって、初めて見る大きな平野が海へと続く光景は、まさしく度肝を抜かれる一大パノラマだったに違いありません。

 しかし、「父ちゃん、日本って、こんなに大きかったんやなあ」と感嘆の声を上げた子供に対して、父親は落ち着き払ってこう言ったんだそうです。

 「アホウ言うな。日本はなあ、この3倍くらいあるんやぞお。」

 古き良き時代の愛すべき田舎人のお話ですが、親戚中の物笑いの種として、長年にわたり語り継がれてきたことは非常に残念な事実です。



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