2010年2月12日

shiのソウルフード ひじき

 Shiの家の近くの海は、太平洋と紀伊水道に面しており、海産物が豊富です。

 魚介類はだけでなしに、海藻類もよう生えますし、ワカメ、ヒジキ、フノリ、ホヤノ
リ、岩ノリ、テングサ等色んな種類の海藻が食卓へも上がります。普通の家の何
倍も海藻を食べてるん違うかなあ。

 特によう食べるんがワカメとヒジキ。今の時期はこれやな。



 ヒジキです。写真のようにして食べる事が多いんですが、かきまぜ(ちらし寿司)
にもよく入れます。

 ヒジキは海から穫ってきたそのままでは堅あて食べれません。大釜で炊いたや
つを天日に干します。干したもんを料理の度に水で戻して料理に使います。

 Shiの家でも昔はようけ穫ってきて出荷しよったんですが、今は炊く釜すらありま
せん。家で食べるヒジキも、近所の炊き方のうまいおばちゃんのとこから分けても
らっています。

 ヒジキには忘れもしない思い出があります。

 Shiが四国の左上で大学生だった頃、ある日実家から仕送りが届きました。イン
スタントラーメンや米に混じって干したヒジキが入っていました。

 「大学生への仕送りにコレはないだろー」

と思いつつ家に電話。姉貴曰く、どないしようか迷ったらしいが

 「Shiなら何とか料理して食うだろ。多少料理を失敗しても食うだろ。」

との結論に至ったらしい。まあ、ほのとおりですが・・・。

 ヒジキだけを炊こうかと思ったんやけど、せっかくやし好物の大豆も入れて炊き
合わせようと思い近くのスーパーへ。

 このスーパーは野菜が安いことと、レジに気になる素敵な女性店員がいたこと
もあって当時、足繁く通っていました。

 目当ての大豆を探すと、水煮と乾燥したまんまの大豆がある。値段を見て割安
感のある乾燥したまんまの大豆を手に取った。

 コレが悲劇の始まり。

 気になる女性店員のレジに並ぼうとしたが混雑していたので、残念だが隣のレ
ジに並んだ。Shiの順番が来てレジを通していると、店員のおばちゃんが突然話
しかけてきた。

「兄ちゃん。豆や買うてどないするん。」

「ほんなもん、食うにきまっとんでー」

と悪態をつこうとしたが、純朴だったShi青年は事情を説明した。するとレジのお
ばちゃんは

「すごいなー私や豆やよう炊かんのに。すごいなーヒジキと炊くん?」

大きな声で過剰な賛辞が返ってきた。するとShiの後ろでレジの順番を待ってい
るおばちゃんが

「何がすごいん?」

と話に絡んできた。レジのおばちゃんは余計なことに

「この兄ちゃんが・・・」

詳細に説明をしだした。

shiの後ろのおばちゃんも

「へえ豆炊くん。えらいなー」

と褒めてはくれたが、コレにさらに別のおばちゃんが話に絡み出す。

「どしたん?何がえらいん?」

「いやいや、この兄ちゃんが・・・」

この連鎖が続き、一気にレジ一角の注目を集め、さらし者に。その中には気にな
る女性店員の視線も・・・。

大豆買うただけやのに・・・。

なんでこんな目に。

いたたまれなくなって、レジ打ち終了後逃げるようにスーパーを後にした。

 帰って大豆とヒジキを炊き合わせたものの、大豆はふっくらと炊きあげることがで
きませんでした。「水煮」にしとけば良かったと後悔しつつ、ボリボリとした大豆と
どこか情けない思いを噛みしめたのでした。

 いつかは大豆をふっくらと上手にたける、いかす男になりたいと思ったものでした。

 あれからもう20年。ヒジキを食べるといまだに思い出す、青春の日の思い出です。

 ちなみに、大豆は今も上手に炊けません。


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